【MEGA地震の前兆と予測】地震雲⑧ 種類と信憑性

地震雲

スマートフォンの普及によって、奇怪な形をした雲が頻繁に撮影されるようになりました。

それらについて「MEGA地震の前兆現象かも?!」と指摘する人がいますが、実はほとんどが単なる気象に過ぎません。

本物の地震雲はもっとシンプルな形をしており、普通の雲と見分けるにそれなりの知識が必要。

そこでこの記事では、地震雲の種類と信憑性についてご紹介していきます。

<スポンサーリンク>



地震雲の種類は4つ

直線帯状の地震雲のイメージ画像

*写真はイメージ

MEGA地震の前兆現象である地震雲は主に4種類あります。

  • 典型的な直線帯状の雲
  • 断層状の雲
  • 竜巻状の雲
  • 波状の雲

地震雲の種類1:典型的な直線帯状

伊豆大島近海地震の2日前に、奈良市で撮影された直線帯状の地震雲

上の写真は1978年に発生した伊豆大島近海地震(M7.0)の2日前に、奈良市で撮影されたものです。

左上から斜め下に伸びる飛行機雲に似た雲が写っています。

これが典型的なパターンである直線帯状の地震雲。

飛行機雲との違いはより太く長時間型崩れしないということです。

なお、地震雲の発見者である元奈良市長の故・鍵田 忠三郎さんは、この直線帯状の地震雲について次のように述べています。

・上空約3,000~6,000mに現れる

・白帯状の地震雲が1時間も同じ形を保つ場合、震源が200キロ以内か、あるいは遠くても大きな地震と考えていい

・20~30分で消える場合、500キロ以上離れたところが震源地になる

*引用『決定版これが地震雲だー雲はあなたを大地震から救ってくれる』(鍵田忠三郎著)

実際、鍵田さんは地震雲をもとに何度も地震の発生予測を的中させた人物

その鍵田さんがもっとも多いパターンとして挙げているのが、直線帯状の地震雲なのです。

地震雲の種類2:断層状

中国唐山地震の前に鹿児島で撮影された断層状の地震雲

*引用:『決定版これが地震雲だ』(鍵田忠三郎著)

上の写真は中国唐山地震(1976年死者24万人超)の前に鹿児島で撮影されたもの。

地震雲の発見者である鍵田さんは、このような雲を断層状地震雲と呼んでいます。

直線帯状の地震雲とは逆に、雲が一直線に切り裂かれていることと、震源地から遠くても発生するのが特徴。

発生の確率は低いようですが、長年地震雲を研究した鍵田さんは「地震の前兆現象の一つ」とはっきり述べています。

地震雲の種類3:竜巻状

阪神淡路大震災の前に撮影された竜巻状の地震雲

阪神淡路大震災の前に出現していたのが竜巻状の地震雲。

その不気味な形は4種類の中でも際立っており、上に向かって伸びているように見えるのが特徴です。

地震雲の種類4:波状

2003年十勝沖地震の前に撮影された波状の地震雲

上の写真は、2003年十勝沖地震(M8.0 死者行方不明者2名)の発生前の雲としてインターネットに投稿されていたもの。(撮影地など不明)

波打つように雲が並び、しかも震源から遠く離れた場所にも出現するのが特徴です。

地震雲の信憑性を種類別に解説

空を見上げる男性

*写真はイメージ

4種類の地震雲をご紹介しましたが、その信憑性(地震発生の確率)はそれぞれ異なります。

種類によっては信憑性が低いものもあり、しっかり把握しておくことが大事です。

直線帯状地震雲の信憑性

2012年12月三陸沖地震の前に撮影された直線帯状の地震雲

上の写真は2012年12月三陸沖地震(M7.3 死者2名)の前に、震源から500キロ以上離れた東京で筆者が撮影したものです。

空を二分するようにほぼ真横に直線帯状の地震雲が走っているのが分かります。

また、1995年の阪神淡路大震災(M7.3 死者6,400人以上)では、発生の数日前から直線帯状の地震雲が各地で目撃されていました。

<阪神淡路大震災 ある家族の目撃証言>

(地震4日前)1月13日、家族と志摩方面を旅行し夕方5時頃・・・よく見ると山に平行にまっすぐな2筋の雲がくっきりと出ていました。 元奈良市長鍵田忠三郎さんの「これが地震雲だ、雲はウソをつかない」という本を読んでいたので、もしかするとアレがそうかもしれない、なにか参考になると思いビデオと写真におさめました。 そして家族に近いうちに地震が来るかもしれないと言いました。

*引用 『前兆証言1519』(弘原海清編著)

他にも2000年の鳥取県西部地震や2004年の中越地震といったMEGA地震でも直線帯状の地震雲が目撃されており、非常に信憑性の高い前兆現象といえます。

断層状地震雲の信憑性

1976年浦河沖地震の前に奈良市で撮影された断層状の地震雲

*引用:『決定版これが地震雲だ』(鍵田忠三郎著)

上の写真は1976年浦河沖地震(M7.1)の前に奈良市で撮影されたもの。

長年地震雲を研究した鍵田さんは、これをみて震源エリアまで的中させています。

断層状地震雲が発生した事例は少なく、信憑性を論じることは難しいのですが、筆者が調べた限りでは高確率でMEGA地震と結びついています。

よって、直線帯状の地震雲と同様に信憑性は高いと考えるべきです。

竜巻雲の信憑性

2022年11月25日富士山の近くで撮影された竜巻状の雲

2022年11月25日、富士山の近くで竜巻状の雲が目撃されました。

ただし、富士山周辺で地震は発生していません。

実のところ、竜巻状の雲は単なる気象としても出現します。

また、「飛行機雲を角度を変えてみれば竜巻状にみえる」という指摘もあります。

よって、信憑性としては五分五分といったところです。

波状地震雲の信憑性

ウェザーニュースに掲載された波状の雲

*引用:ウェザーニュース

波状の雲は単なる気象として出現することがほとんど。

これに関してウェザーニュースは次のように発表しています。

波状雲は大気の波によって空気が上下に動くことで発生。 雲が発生しやすい湿度や気温の条件が揃っている時に、空気が持ち上げられるところでは雲が発生し、引き下げられるところでは雲が消える、そのため波打つような形の雲になる

*引用:ウェザーニュース

ただし、1983年に発生した大分県北部地震(M6.8)の3日前には、石川県小松市で波状の雲が目撃されています。(下の写真参照)

1983年大分県北部地震(M6.8)の3日前に石川県小松市で撮影された波状の雲

*引用『わかりやすい地震雲の本』(上出孝之著)

筆者が目撃談を検証したところ、波状の雲が地震の前兆現象として出現したのは約10%。

他の種類の地震雲と比べると、信憑性は低いようです。

信憑性がない雲の種類

ウェザーニュースに掲載された空を分割する雲

*引用:ウェザーニュース

最後に、信憑性がない(または極めて低い)雲の種類をご紹介しておきます。

  • 空を分割する雲
  • 肋骨雲
  • 放射状の雲
  • レンズ状の雲

空を分割する雲

空を分割する雲

*引用『前兆証言1519』(弘原海清著)

雲によって空がくっきりと分割されている場合は単なる気象です。

これを断層状の雲と呼ぶ人がいますが、前述した断層状地震雲とはまったく別物なので混同しないでください。

肋骨雲

肋骨雲

肋骨や魚の背骨のような形状をしているのが、通称肋骨雲です。

怪しげな雰囲気がありますが、MEGA地震の前兆現象だったとする報告はなく、信憑性はないといえます。

放射状の雲

放射状の雲

扇形に雲が広がる(放射状に広がる)場合も、信憑性はありません。

発生すること自体が極めて珍しいので異変の前兆を疑う人もいるようですが、実際には危険性はないようです。

レンズ状

レンズ状の雲

レンズ状の雲は2023年2月のトルコ南部地震発生前にも目撃されています。

形の異様さもあって地震の前兆現象と指摘されがちですが、実際には単なる気象。

地震とは関係がなく、信憑性はありません

まとめ

この記事では、地震雲の種類と信憑性をご紹介しました。

もっとも信憑性が高いのは直線帯状の地震雲。

レアではあるものの断層状の地震雲も高い信憑性を誇ります。

一方、竜巻雲に関しては単なる気象として発生することもあり、信憑性は中程度。

波状の地震雲となると10%程度の信憑性しかありません。

とはいえ、これらの地震雲が前兆現象となって表れることもあるわけで、万が一目撃した場合は危機意識を高めてください

なお、MEGA地震発生に備えて防災グッズを買い揃えておきたいという方はコチラをご覧ください。

●作成者:原 経厳

・・・元番組制作ディレクタープロデューサー、長年にわたり地震前兆関連の調査・取材等を続けつつ、現在はフリーで映像コンテンツ制作プロデュース、短編映画製作プロデュース等に携わる。

●構成・編集Support:原 洋

・・・フリーライター



コメント

タイトルとURLをコピーしました