地震雲の発見者である元奈良市長の故・鍵田忠三郎さんは、「地震雲には震源方向に向いて発生するか、または震源に対して直角に発生する」と述べています。
前回はその事例として過去のMEGA地震における雲の画像などご紹介しましたが、実は地震雲は分布にも不思議な特徴があり、そこには科学的根拠があるといいます。
そこで今回はその地震雲における分布の特徴と科学的根拠についてご紹介します。
<スポンサーリンク>
地震雲の分布には特徴がある
MEGA地震の前兆現象である地震雲を調べていくと、その分布には次のような特徴があることが分かります。
- 広範囲に分布
- 放射状に発生
- 同心円状に発生
特徴1:地震雲が広範囲に分布した事例
*引用:『わかりやすい地震雲の本』(上出孝之著)
上の画像は2000年10月5日に石川県小松市で撮影されたもの。
この翌日に400㎞以上はなれた鳥取県でM7.3の鳥取県西部地震が発生しました。
また、2012年12月の三陸沖地震(M7.3 死者3名)の3日前には、500キロ以上離れた東京練馬区で下のような地震雲が観測されています。
*筆者撮影
帯状地震雲の右端が東~東北東に向いており、これは震源である三陸方面。
いずれも震源から数百kmも離れていますが、はっきりとした地震雲が発生しています。
このように、MEGA地震では震源を中心として広範囲で地震雲が発生するのです。
特徴2:地震雲が放射状に分布した事例
*引用:『巨大地震と地震雲ー予兆現象はXデーを警告する!』(週刊現代特別取材班編)
2000年の鳥取県西部地震(M7.3)では、震源から約120キロ離れた鳥取・智頭町付近でも帯状の地震雲が発生しています。(上の写真参照)
写真の左方向に震源があり、前述の石川県小松市で目撃された帯状地震雲と併せて考えると、震源を中心として放射状に地震雲が発生していたと思われます。
<放射状に発生する地震雲の図>
この放射状に発生するというのが、地震雲における分布の特徴の一つであり、震源を予測する手掛かりとなります。
特徴3:地震雲が同心円状に分布した事例
*引用:『決定版これが地震雲だ』(鍵田忠三郎著)
地震雲の分布には、同心円状に広がるという特徴もあります。
前述の放射状と同心円状が別々に発生することもあれば、同時に発生することも。
たとえば1983年5月に起きたMEGA地震・日本海中部地震(M7.7 死者104人)では、放射状と同心円状の両方が観測されています。
<日本海中部地震における地震雲の分布>
上の図は元奈良市長の鍵田さんと九州大学の真鍋大覚助教授が日本海中部地震における地震雲の目撃情報を集めて作成したもの。
番号は地震雲が発生した場所を示しています。
この図の赤枠で囲った部分をみると、震源を中心とする円周上に地震雲が並んでいることが分かります。(左から⑱⑥㉕①⑪⑬)
さらに震源から真っ直ぐ下に伸ばした線上や斜め下に伸ばした線上にも地震雲が並んでおり、放射状の特徴も備えています。
ちなみに、こうした地震雲の特徴に早くから気付いていた鍵田さんは、いくつものMEGA地震において震源の予測に成功。
この結果から考えても、広範囲、放射状、同心円状という地震雲の特徴には信憑性があります。
地震雲発生と分布における科学的根拠
*筆者が熊本で撮影
過去のMEGA地震から地震雲の分布には特徴があることが分かります。
これを単なる偶然と考える人もいますが、実は科学的根拠があるのです。
地震雲が発生する科学的根拠
上の動画は大阪大学の名誉教授である故・池谷元伺さんが行った『電磁波で雲を発生させる実験』です。
この実験をもとに、池谷教授は次のように語っています。
・地殻破壊されていく時パルス的な電場や電磁波電場が発生
・それにより大気中の電子が加速され大気分子と衝突し高エネルギーとなる
・やがて電離する時、過冷却の大気中で起こるためイオンを核に水滴が生じ雲となる
・この状態が続くので雲が同じところにとどまって見える
*引用:『大地震の前兆こんな現象が危ない』(池谷元伺著)
地震の前には地殻に圧力がかかります。
この圧力によって電磁波が発生することはすでに証明されていること。
池谷教授はこの電磁波と特定の気象条件によって地震雲が発生することを証明したわけです。
地震雲が広範囲・放射状・同心円状に分布する科学的根拠
*引用:『地震の前、動物はなぜ騒ぐのか』(池谷元伺著)
池谷教授は日本列島の100万分の1の形にしたミニチュアを用いて、地震雲が広範囲、放射状、同心円状に分布する仕組みについても実験しています。
この実験から得られた結論は次の通り。
断層上空に電場が生じると、過冷却の湿った空気中での電離は電気力線に沿って帯状になる。 その方向は断層に垂直か平行に近く筋状の地震雲を説明できる
*引用:『地震の前、動物はなぜ騒ぐのか』(池谷元伺著)
「断層に対して垂直か平行に地震雲が発生する」と結論づけており、地震雲が放射状や同心円状に発生することを証明しています。
また、電磁波は1秒間で地球を何周も回るほど非常によく伝播することが分かっており、震源から数百kmの位置で地震雲が観測されることも説明がつきます。
以上のことから、広範囲、放射状、同心円状という地震雲の特徴には科学的根拠があり、MEGA地震の前兆現象として予測にとても役立つのです。
まとめ
今回は、地震雲における分布の特徴と発生する科学的根拠をご紹介しました。
まだまだ未解明な点が多い地震雲ですが、過去の事例を見直すと分布には特徴があります。
その発生メカニズムにも科学的根拠がありますから、地震の前兆現象として知っておくべきでしょう。
なお、MEGA地震発生に備えて防災グッズを買い揃えておきたいという方はコチラをご覧ください。
●作成者:原 経厳
・・・元番組制作ディレクタープロデューサー、長年にわたり地震前兆関連の調査・取材等を続けつつ、現在はフリーで映像コンテンツ制作プロデュース、短編映画製作プロデュース等に携わる。
●構成・編集Support:原 洋
・・・フリーライター
コメント