長い間、動物の異常行動や発光などの地震前兆はインチキ・オカルト・迷信等と言われてきました。
しかし、実際にはMEGA地震が起きる度に目撃されており、そういった前兆現象を研究することで地震の予測ができると考える学者がいるのも事実。
その研究の歴史は古く、記録が残っているだけで1700年代にまで遡ります。
今回はそんなMEGA地震の前兆現象における研究の歴史と予測に成功した事例をご紹介します。
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MEGA地震の前兆現象は世界中で研究されてきた
*引用:NHK
現在では『地震の前兆現象に電磁波が関係している可能性が高い』と言われています。
しかし、電磁波が注目されだしたのは比較的最近のこと。
なおかつ、電磁波と地震の関連性について懐疑的な立場の人も大勢います。
そんななか、地震光と呼ばれる発光現象だけは、地震の前兆現象としてかなり以前から注目されてきました。
古代人は地震光を目撃していた
地震光は約2000年も前から世界各地で目撃されてきました。
それは古代の書物にはっきりと書き記されており、古代の人々は地震と発光現象の間には何らかの関係があると気付いていたようです。
とはいえ、当時は地震計のような機材は存在しませんから、研究と呼べるようなものではなかったでしょう。
18世紀以降の地震予測研究
大正から昭和初期にかけて活躍した地震学者・武者金吉さんによると、英国・ドイツをはじめとするヨーロッパでは1700年代からすでに地震と発光現象の関係に着目していたそうです。
また1910年には、イタリアの学者イグナツィオ・ガリーが地震光を解析。
地震光には空の発光や火の玉など13パターンもの種類があると学会で発表しています。
前述の武者さんの回顧録では、師でもある有名な地震学者・寺田寅彦博士がわざわざイタリア語を学び、イグナツィオ・ガリーの研究を日本語に翻訳した事が語られています。
しかし、その内容が日本の地震予測に活かされることはありませんでした。
なお、MEGA地震の前兆現象である地震光については、コチラでもまとめています。
MEGA地震を研究し予測に成功した中国
前述の通り、世界中の国で地震光をはじめとする様々な方法によって地震の前兆現象が研究されてきました。
今日に至っても完成と呼べるほどの予測精度には至っていませんが、それでも予測を的中させて大勢の人の命を救った事例があります。
例えば中国は、1970年代に官民一体の組織である国家地震局を創設。
同局では、一学者レベルにとどまらず、国家主導で前兆現象をもとにした地震予測研究が行われていました。
動物たちの異常行動や地下水位の異常などについて民間から情報を収集し、それを科学者達が検証していたのです。(宏観異常現象予知と呼ばれる)
また、地電位の観測も行なわれており、地震光をはじめとする電磁気現象にも着目していました。
その結果、実際にMEGA地震の発生を予測し、何万という命を救っています。
1975年2月にMEGA地震の予測に成功
1975年2月、中国で『海城地震』(M7.3)が発生しました。
M7.3というまさにMEGA地震だったわけですが、中国の国家地震局は事前に動物たちや地下水位、地電位などの異常について多くの報告を受けていました。
そのため、1975年2月4日午前8時頃、「今日、明日中に地震あり!」という第1報を遼寧省海城市が発表。
同発表をもとに直ちに人間や家畜の避難が実施されました。
また、避難後のケアも徹底しており、避難所で映画上映まで行う村もありました。
そして午後7時36分、M7.8のMEGA地震が海城地域を襲ったのです。
中国で出版された『一九七五年海城地震』(地震出版社)によると、もし避難が実施されていなければ死傷者の数は15万人に達していただろうとのこと。
このニュースは世界中を駆け巡り、MEGA地震の予測成功事例として各国を驚かせました。
なお、中国の国家地震局は他にも地震の予測に成功しており、予測成功回数は20回にもなると言われています。
海城地震でみられた前兆現象
『海城地震』の発生前には、国家地震局に数多くの前兆現象が報告されており、それらがMEGA地震の予測に大いに役立ちました。
当時のことを記録した資料によると、主に次のような前兆現象がみられたそうです。(参考:『地震のおこるとき(亀井義次著)』、『大紀元時報』ほか)
- およそ1万匹のカエルが大移動していた
- ニワトリが高くとびあがって騒いだ
- 馬が立ち上がって騒いだ
- 真冬なのにヘビが出てきて凍死した
いずれも動物の通常の生態から逸脱しており、非常にレアなケースであることは明らか。
そんなレアケースが『海城地震』の発生直前に集中しているわけですから、動物達がMEGA地震の発生を察知していたのは間違いないでしょう。
中国では予測が活かされなかった事例もある
『海城地震』の発生を見事に予測し死傷者を最小限に食い止めてみせた中国ですが、残念ながら予測が活かされなかった事例もあります。
例えば『海城地震』の翌年7月に遼寧省で発生した『唐山大地震』(M7.8)。
地震の前兆現象はあちこちに出ていたそうですが、国家地震局の発表が遅れてしまったために14万人以上が亡くなっています。
その責任を問われた国家地震局は国民からのバッシング・迫害をうけることになり、これによって中国の地震予測研究は一気に衰退したと大紀元時報は伝えています。
また、2008年5月に発生した『四川大地震』でも前兆異常が数多く報告されていました。
- カエルの大移動
- ねずみの大群
- 湖が丸ごと数時間で干上がった
『海城地震』で予測に成功した当時の研究者が上記のような異変に気付き地元当局へ報告しましたが、全く相手にされず・・・
その結果、死者約7万人、負傷者約37万人、さらに1万人以上が現在でも行方不明のままという大惨事となってしまいました。
ギリシャの予測成功事例
1980年代、ギリシャの3人の科学者(バロッチョス、アレクンプ―ロス、ノミコス)が、2地点間の地電位の値をもとに地震予測を行なう方法(VAN法)を考案しました。
岩石に圧力をかけると破壊される前に電流が流れるという特性を利用したもので、彼らは地面に多くの電極を埋め、様々な2地点間の地電位を測定。
そこから得られたデータをもとにMEGA地震の発生を予測したのです。
1993年のMEGA地震を予測
VAN法の精度はかなり高く、1985年からの10年間に発生したM5.5以上の地震13回の内、8回で予測を的中させています。
特に1993年3月の『ピルゴス地震』(M6.7)を予測してみせたことは有名で、報道ステーション(テレビ朝日)や週刊文春などでも紹介されました。
『ピルゴス地震』の発生直前、VAN法による予測がギリシャ西部のピルゴス市に伝えられました。
この予測を受け、ピルゴス市市長は警戒宣言を発令。
市民は速やかに避難しました。
そして翌日、予測通りMEGA地震が発生したのです。
もっとも、VAN法による予測のおかげで、約4000戸の家屋が倒壊したにも関わらず犠牲者はゼロ。
この出来事でVAN法による予測は一層信頼を得たと伝えられています。
なお、日本でもVAN法による地震予測の導入が検討されましたが、『感度の良い観測点を見つけることが難しい』ことと、『電車や工場などによる地下のノイズが多い』ことを理由に廃案となっています。(参考:週刊文春)
まとめ
今回は世界各国で行われてきた地震予測の研究と成功事例をご紹介しました。
「地震は前兆現象で予測できる」という考え方はオカルト扱いされがちですが、中国やギリシャのように予測によって大勢の人の命が救われることもあります。
この点において地震の前兆現象を研究することは非常に重要。
「日本の前兆現象研究はどうなっているのか?」と不安に思った人も多いことでしょう。
そこで次回(【MEGA地震を予測せよ!】前兆現象の研究と歴史2は、地震大国である日本の地震予測研究についてご紹介します。
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●作成者プロフィール
原 経厳・・・元番組制作ディレクタープロデューサー、長年にわたり地震前兆関連の調査・取材等を続けつつ、現在はフリーで映像コンテンツ制作プロデュース、短編映画製作プロデュース等に携わる。
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