【MEGA地震の前兆現象と予測】研究と歴史③ 先駆者・池谷教授

前兆現象研究と歴史




前回は日本における地震の前兆現象について、その研究の歴史をご紹介しました。

前兆現象の研究は主流の地震学と見なさずなかなか発展しませんでしたが、90年代に入ってMEGA地震と電磁波放出の関係性が注目されるようになります

そこで今回は、電磁波と前兆現象の関係性について研究を行ったある学者と、その研究結果をご紹介。

「MEGA地震の前兆現象など単なる迷信では?」とお考えの方も、本記事を読めばきっと考えが変わると思います。

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電磁波と前兆現象の研究を行った大阪大学名誉教授・池谷元伺

大阪大学名誉教授の故・池谷元伺さん

*引用:大阪大学公式サイト

90年代後半、電磁波によって引き起こされる前兆現象について先駆的に検証を進めた人物がいます。

大阪大学名誉教授だった故・池谷元伺(いけやもとじ)さんです。

<故・池谷元伺教授のプロフィール>

1940年生まれ。大阪大学工学部電子工学科卒業。大阪大学大学院理学研究科教授を経て、大阪大学名誉教授。工学博士。

1986年、大阪科学賞受賞。

2006年、心不全のため永眠(享年65)

<故・池谷元伺教授の著書>

  • 動物の地震予報 みんなどうしたの? (PARADE BOOKS)
  • 地震の前、なぜ動物は騒ぐのか―電磁気地震学の誕生 (NHKブックス)
  • 【緊急改訂】大地震の前兆 こんな現象が危ない (プレイブックス) など

池谷教授はMEGA地震前に生き物や家電製品などに起きた異変について、幅広く電磁波実験を重ね、解明を進めてきました。

国内実験だけでなく、かつて予知に成功した中国の研究現場にも足を運び、国家地震局の協力のもと生き物の実験に参加。(中国での地震予測成功についてはコチラ

トルコ・イズミット地震や台湾中部地震の被災地での調査も行っています。

また、ニュース特集などTV番組にも何度か出演し、阪神淡路大震災をはじめとするMEGA地震の前兆と電磁波の関係性についてコメントしていました。

池谷教授が考えるMEGA地震の前兆現象と電磁波の関係性

池谷教授の著書・大地震の前兆 こんな現象が危ない

池谷教授は自身の著書『大地震の前兆 こんな現象が危ない』において、次のように述べています。

なぜ多くの種類の生き物たちが異常に反応するのかを考えた時、様々な要因の中で電磁波が最も可能性が高い…

動物たちが大群で逃亡したり、冬眠から出たり、凶暴になったりするほどの異常を見せるためには、磁気異常やガスなどでは影響が小さく、やはり電磁波の影響が一番可能性が高くて、最も合理的だ。

動物達の異常行動については音波や振動、ガスの臭気、磁気異常、帯電エアロゾル、ラドンガス放出、などもありますが、池谷教授は電磁波がもっとも影響していると考えていたのです。

池谷教授によると、地震電磁波は人工的な安定した周波数ではなく、細切れに、強く、しかも不規則に発射されるパターンの電磁波(電磁パルス)だと言います。

この電磁波に対して人間は鈍感なのに対して、他の生き物たちはほとんどが嫌がりかなり敏感に反応するのだとか。

アシカやウナギなどは1㎡あたり0.5ボルトの低い電場で騒いだ

馬や豚などもかなり敏感に地面からの電流をキャッチしており、この電流が強くなればなるほど、パニックを起こす

上記は池谷教授が見てきた検証例。

大阪大学の名誉教授ですから、著書に書かれている内容の信頼性に関しては間違いないでしょう。

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池谷教授が行ったMEGA地震前兆現象の実験1

ハムスター

池谷教授はリアルな設定で実験を何度も行いました。

  • 花崗岩が破壊される前から早くもインコが反応を示した
  • 50~60トンの圧力で破壊が起き始めると、ドジョウやウナギが反応した
  • 特にウナギは破壊前から、はじかれたような動きを見せた
  • ハムスターがグルーミング(毛づくろい)した
  • ハムスターが金属板に身をよせた(電磁パルスを避けるため)

上記は池谷教授が行った実験のなかで見られた生き物の異常行動です。

この実験は地震発生前の岩盤の状態を再現し、生きものたちの反応がどうなるのかを見るというもの。

数十センチの花崗岩をサンプルに使い、そこに圧力をかけて電磁波を発生させ、周囲に配置したウナギ、ドジョウ、カメ、ハツカネズミ、インコの様子を観察したものです。

(花崗岩と電磁波の関係についてはコチラで紹介)

結果はご覧の通り、生き物達に明らかに異常な行動が見られました。

他に異常行動を引き起こす要因はなく、電磁波が生き物達の行動に大きく影響することは間違いないでしょう。

池谷教授が行ったMEGA地震前兆現象の実験2

毛づくろいする猫

さらに教授は、身近なペット(犬・ネコ・ネズミ・ハムスター)で、別の実験を行なってます。

基本的な仕掛けは濡れた布に電極を付けて、瞬間的な電圧をかけて様子を見るというもの。

(実験は動物たちに苦痛を与えないように配慮されています)

その結果は著書で次のように報告されています。

  • 全体的に盛んに毛づくろいしたり、毛が逆立って落ち着かない様子だった
  • 猫は目の部分を洗うように盛んに前足でなぞり、電圧が上がるとその場を逃げ出した(体毛が電気センサーになっているからだとの見解)
  • 犬は電流の流れる布を警戒したり、吠えたりした

また、水中生物や鳥たちの検証報告もなされています。

  • ワニやアシカは小さな電圧でも敏感に反応し、水場を避けるような行動をとった
  • ナマズは1㎡あたり5Vの電圧で痙攣したが、ウナギは1㎡あたり1~2Vで痙攣した
  • スズメやニワトリ、アヒル等は微弱なパルス電磁波で羽づくろいや異常な鳴き方をした

これらのことから、生き物達は陸上・水中に関係なく電磁波にかなり敏感であることがわかります。

生き物達の電磁波感度は環境によって異なる

鉄筋のマンション

池谷教授の検証の中に、「ハムスターが金属板に隠れたのは、金属がシールド(防御)になっているからだ」という見解がありました。

また、別の専門家は次のように指摘します。

木造住宅と比べて鉄筋のマンションは飛んでくる電磁波が少なくなる(電磁波が金属に寄せられるため)、したがって、鉄筋のマンションに住むペットは反応しない場合が多いはずだ

実際、私も福島県沖地震の被災者から、「うちの犬は無反応だったけれど、隣の家は激しかった」といった話を聞いたことがあります。

電気の特性を考えれば十分にあり得ることですから、場所や環境によって生き物達の電磁波に対する反応は大きく異なることでしょう。

とはいえ、池谷さんが行なった先駆的な検証は、生き物達の異常行動が電磁波によって引き起こされる可能性を十分に示したのではないでしょうか。

★まとめ

今回は池谷教授が行った電磁波と生き物達の関係性を調べる実験についてご紹介しました。

お読みいただいた通り、電磁波が生き物達に影響を与えることは間違いありません。

そして、前回の記事でご説明した通り、MEGA地震の前には岩盤に含まれる花崗岩に圧力が加わり、電磁波が発生します。

つまり、生き物達の異常行動はMEGA地震の前兆現象と考えられるのです。

もっとも、電磁波が影響を及ぼすのは生き物だけではありません。

実は身近な電化製品にも影響するのです。

次回は、池谷教授が行った実験のなかで、身の回りの人工物と電磁波の関係性を検証した記録についてご紹介します。

<次回は 前兆現象の調査研究Vol.4 身の回りの人工物におきる前兆現象>

●作成者プロフィール

原 経厳・・・元番組制作ディレクタープロデューサー、長年にわたり地震前兆関連の調査・取材等を続けつつ、現在はフリーで映像コンテンツ制作プロデュース、短編映画製作プロデュース等に携わる。

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