【MEGA地震を予測せよ!】前兆現象の研究と歴史6 動物を使って察知

前兆現象研究と歴史




前回はNPO法人大気イオン地震予測研究会・e-PISCOの矢田直之理事長が行っている『大気イオン濃度を用いた地震予測』をご紹介しました。(前回記事はコチラ

徐々にその精度を高めている同予測ですが、矢田理事長が行っている研究はそれだけではありません。

なんと動物を使った地震予測の研究も行っているのです。

こちらも予測と呼ぶに相応しい精度があるので、本記事でご紹介します。

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矢田理事長は動物の異常行動も研究している

大気イオン濃度をもとに地震予測を行っている矢田理事長ですが、実は以前から動物たちの行動観察も行っています。

無論、これは動物達の異常行動がMEGA地震の前兆であり、予測にいかせると考えているから。

地震前に動物達がみせる異常行動をオカルト・都市伝説と考える人が多いようですが、矢田理事長のように真剣に取り組む研究者がいるのも事実です。

例えば中国では70年代から国家主動で動物達を用いた地震予測が行われてきました。

その結果、1975年に起きた『海城地震』の予測に成功。

事前に市民を避難させ、何万人もの命を救った実績があります。(前兆現象の研究と歴史1参照)

矢田理事長には中国のような資金力も設備もありませんが、それでも、限られた人員と予算を駆使して成果をあげているのです。

矢田理事長の研究方法1

矢田理事長が神奈川工科大学工学部の准教授だった頃、その研究室ではナマズ、ヘビ、文鳥、熱帯魚が飼育されていました。

こうした動物たちの動きを観察し異変をとらえるために矢田理事長が考案したのが、『赤外線センサーによる観測システム』です。

仕組みは単純で、動物を飼育するケージや水槽等に赤外線センサーの感知機器を付け、動物が動いてセンサーに当たる回数をカウントするというもの。

動物が激しく動けばそれだけカウント数も増え、それによって異常が分かるのです。

この仕組みのメリットについて、矢田理事長は次のように語ってくれました。

「機器類は低予算でつくれるメリットがあるだけでなく、この仕組みがあれば24時間常に計測が出来て、観測人員を抑えることも出来た・・・」

矢田理事長の研究方法2

矢田理事長の研究室には前述の動物達の他に猫2匹も暮らしていました。

冬にはコタツも用意されるなど、猫達の暮らしは快適です。

ただ一つ、一般的にペットとして飼われている猫と違うのは、首輪の代わり万歩計をつけているということ。

MEGA地震前になると猫は落ち着きをなくし動きが活発になる、という過去の経験をもとに、万歩計を使って猫の歩数を計測したのです。

「自由に動き回る猫には最適で、しかも万歩計は軽量なので負担がかからない・・・」

矢田理事長はこのように語っています。

東日本大震災前に動物達が異常行動をとっていた

矢田理事長の研究は低予算でユニークなものでしたが、それでもMEGA地震の予測に一定の成果をあげています。

たとえば東日本大震災の発生前の2011年3月10日には、研究室で暮らしていた猫2匹が激しく動き回り、万歩計が普段の10倍近くの数値になったといいます。

下記はその時のデータです。

(「地震の前兆150」別冊宝島編集部編 宝島社より)

ご覧の通り、普段は山と谷を繰り返しているだけのグラフですが、3月10日は一直線に値が伸びています。

これはつまり、3月10日だけ尋常じゃないほど猫が動き回ったということ。

それが東日本大震災の前日であることを考えると、決して無視できないデータです。

「やはり動物たちの反応は、種類によってバラツキがあったとしても、絶対に軽視できないものである・・・」

この時、矢田理事長はそう感じ、東日本大震災以降も日々観察を続けているそうです。

なお、矢田理事長の研究には世界各国のテレビ局が興味を示し、英国BBCや中東のアルジャジーラ、フランス、ブラジルが取材を行っています。(下記動画参照)

www.e-pisco.com/Animals with all the answers – FRANCE 24.mp4

www.e-pisco.com/20120610-terremoto_e_os_animais.mp4

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動物達が地震の前兆現象を示す確率

東日本大震災の事例からも分かるように、MEGA地震と動物たちの異常行動には関連があると思われます。

つまり、動物の行動を観察することでMEGA地震を予測できるわけですが、問題なのはその精度。

  • 動物たちはどれくらいの確率で地震の前兆となる異常行動を見せるのか?
  • 動物の種類によってその数値はどう違うのか?
  • 異常行動は地震発生の何日前からみられるのか?

これらを検証すべく矢田理事長はデータの収集につとめました。

以下にその検証方法と検証結果を示します。

動物達による異常行動の検証方法

矢田理事長が検証したのは、『的中率』と『捕捉率』です。

的中率とは、動物が異常行動を見せたあとに、一定条件を満たす地震が発生する確率。

捕捉率とは、一定条件を満たす地震の回数に対し 、発生から遡って3日以内に動物達が異常行動をみせた確率です。

この二つを調べるために、矢田理事長は次のような条件を設定しました。

検証に用いた条件

検証期間:2018年3月~2019年5月の1年2か月

参加動物:ネコ2匹、ナマズ2匹、ヘビ2匹、インコ、文鳥、ウズラ、熱帯魚のコリドラス等

検証場所:神奈川厚木市・横須賀市・川崎市、宮城県など

対象地震:マグニチュード4.5以上

対象期間:地震発生2日前から発生当日までの3日間

対象行動:通常の約4~5倍以上の運動量

対象範囲:飼育地点から半径350キロ以内

検証結果

1年二ヶ月にわたる検証の結果、得られたデータは次の通りです。

的中率% 捕捉率% 対象地震数
白ネコ(神奈川厚木・大学内) 43.8 35.6 59
黒ネコ(神奈川厚木・大学内) 36.4 25.5 47
ナマズ1(神奈川厚木・大学内) 32.5 22.0 59
ナマズ2(神奈川横須賀) 40.5 27.4 62
ヘビ1(神奈川厚木・大学内) 33.3 23.7 59
ヘビ2(神奈川厚木・大学内) 25.0 20.3 59
インコ(宮城・柴田町) 40.0 31.0 58
文鳥(神奈川厚木・大学内) 33.3 22.7 22
ウズラ(神奈川厚木・大学内) 32.7 30.5 59
熱帯魚コリドラス(神奈川川崎) 26.1 26.1 23
ウーパールーパー(東京練馬区) 29.6 12.7 63

的中率(異常行動から3日以内に半径350キロ以内でM4.5以上の地震が起きた確率)を見ると、白猫43%、ナマズ(1匹)40% インコ40%という結果がでました。

約40%の的中率はまだまだ改善の余地がありますが、気象庁が「地震は予測できない」と発表していることを考えると、かなり立派な数値といえます。

一方、捕捉率(半径350キロ以内で起きたM4.5以上の地震から遡って3日以内に異常行動が出ていた確率)をみると、白猫35%、インコ31% ウズラ30%という結果になりました。

また、動物の種類や個体によって的中率・捕捉率ともにかなりの差があり、地震の前兆に敏感な動物(個体)と鈍感な動物(個体)がいると思われます。

異常の結果について矢田理事長は次のように語っています。

「検証に参加した動物たちには野生が含まれず、研究室の動物が中心だったにも関わらず、 結構高い確率を見せた。 もしもっと様々な環境下の動物たちが参加していれば、確率はもっと上がったのではないか?」

矢田理事長の更なる研究に期待したいところです。

まとめ

矢田理事長が行った検証データからは『動物たちの反応は決して侮ってはいけない』ということが分かります。

科学的根拠を追及することも大事ですが、身の回りの動物たちが見せる異常行動にも目を向けるべきなのです。

この考えのもと、矢田理事長はNPO法人を中心に、主に学校をはじめとする若者たちの観測ネットワーク創りの構想を描いています。

当ブログもこの「地震前兆の知識共有」を目指しており、矢田理事長の取り組みが広がって行くことを願はずにいられません。

<次回は『地震前兆の研究と歴史7 植物がみせる地震の前兆現象』です>

●作成者プロフィール

原 経厳・・・元番組制作ディレクタープロデューサー、長年にわたり地震前兆関連の調査・取材等を続けつつ、現在はフリーで映像コンテンツ制作プロデュース、短編映画製作プロデュース等に携わる。

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