関東大震災からまもなく100年、次は一体いつ来るのか?
防災チャンスを広げるためにも、発生前の予兆について知っておかねばなりません。
実は100年前の関東大震災発生では、早くから予兆となる異変があちこちで起きていました。
そこで今回は100年前、どんな予兆が起きていたのかを振り返りつつ、次はいつ来るのかという点を考えていきます。
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時系列でみる関東大震災の予兆
100年前の1923年9月1日に起こった関東大震災は、2日間でM7以上のMEGA地震が6回も発生し、10万5000人以上が犠牲となりました。
実のところ、発生の半年前、3か月前、1か月前・・・と断続的に予兆となる異変が各地で目撃されていたのです。
MEGA地震の発生を正確に予測するのは困難。
そんななかであてになるものがあるとしたら、100年前に目撃された予兆・前兆現象だと筆者は考えています。
半年前の予兆:ガラス戸や障子の鳴動
関東大震災の予兆の始まりは、発生の半年ほど前。
神奈川沿岸でそれまでになかったような不気味な鳴動が起きたことです。
(震災半年前の)3月~4月、神奈川の鎌倉、藤沢などで毎晩のように大砲を打つ音が聴こえ、障子やガラス戸が割れんばかりに振動していた。(片瀬町役場報告)
神奈川県の鎌倉・藤沢といえば、関東大震災の本震の震源に近い所。
そんな場所で「毎晩のように大砲音がありガラス戸が割れんばかり」という謎の現象が起きていたのです。
一晩だけなら隕石の落下などが考えられます。
また、現在であれば航空自衛隊機のソニックウェーブと考えることも可能。
しかし、100年の日本でしかも毎晩大砲音があったとなると、MEGA地震の前兆現象以外に思い当たる節がありません。
3か月前の予兆、茨城沖地震と富士五湖の同時異変
*出典:じゃらんnet
震災の約3か月前には茨城沖と富士山周辺で異変が起きていました。
●3か月前の5月下旬~6月上旬、茨城県沖で地震が頻発、6月2日にはM7.1とM6.8が発生。 さらに6月の1か月で水戸の有感地震が73回, 銚子が64回となり、当時観測で開始以来の異例の記録となった。
*気象庁・関谷博氏報告
●5月~6月、富士山周辺の山中湖で湖水が広範囲に濁り、精進湖では6mも水位が低下した。
*『地震の起こるとき』亀井義次著
茨城沖では10~20年おきに群発地震が起きます。
よって、茨城沖の地震だけであればたまたま群発地震と時期が重なったとも考えられますが、この時は同時期に富士山周辺の2つの湖でも異変が発生。
湖水の濁りと水位の低下は地下で何らかの異変が生じた証拠であり、茨城沖の地震と併せると、関東大震災の予兆・前兆現象だったと考える方が自然です。
1か月前の予兆、海の異変
*画像はイメージ
震災前1か月となると海でも異変が起きます。
8月になり伊豆半島でアワビとりの海女さんが、海底から盛んに泡が噴き出していたのを目撃・・・ 千葉・木更津港では「くみ潮」が発生、満ち潮の途中で30分~1時間位、桶の底が抜けたように急に潮が引き、引き潮の時も途中で突然30分か1時間くらい満ち潮が起きた。
*引用:『地震の起こるとき』亀井義次著
木更津港や伊豆半島はいずれも6回起きたMEGA地震の震源地に近く、海底では明らかな予兆が出ていたと見るべきでしょう。
特に潮の満ち引きの異変は海底を震源とする場合に起きやすく、南海トラフの昭和南海地震や昭和東南海地震でも目撃された予兆。
MEGA地震が迫っている証拠として分かりやすいので、覚えておくべき現象です。
前々日と前日の予兆・空の赤い月
*画像はイメージ
関東大震災の前々日と前日には、月に異変が見られました。
●(地震の前々日)いやに暑苦しいので窓を開けた・・・身体が冷たい水をあびたようにすくんでしまった・・・天の一角に火の玉をあげたような真っ赤な月であった。床に入っても赤い月を思い出して眠ることができなかった・・・
●(地震前日)近所で夜11時頃、東の空に昇った月を見た・・・やはり昨夜のように赤い真っ赤な月であった。(本田健雄氏談)
*引用:『地震の起こるとき』亀井義次著
前々日8月30日と前日の31日の月は、満月から半月に向かう途中。(下の月齢カレンダー参照)
これが真っ赤だったというのです。
*出典:こよみのページHP
地震後の記録では本来の「青い月」「清い光」になっていたと報告されており、地震前だけが真っ赤だったのです。
近年、月が赤く見える原因について専門家から研究結果が報告されました。
それによると、地震前に出る電磁波が大気中に大量の水蒸気をつくり、これがレンズ効果となって赤く見えるとのこと。
震災前日には、真っ赤な夕焼けや真っ赤な雲の目撃証言もあり、電磁波による影響が空に出ていたと考えられます。
なお、赤い月の現象は阪神淡路大震災(満月)の前にも目撃されており、まさにMEGA地震ならではの予兆・前兆現象と言えます。
その他の予兆
関東大震災では他にも様々な前兆現象・予兆が報告されています。
- 3か月前から前日までネズミの集団逃亡が続発
- 1~2か月前から稲・大根・梨などの大豊作
- 1か月前から前日にかけてナマズの大繁殖と大暴れ
- 季節外れの花の狂い咲き(藤・山吹・菖蒲など)
- 3~4日前から地震光が多発、余震前にも多発
- 前日にカニの陸上大移動、フナやハゼが大集合し素手で簡単に獲れた
現状での予兆は?
2023年7月時点で、前述のような予兆・前兆現象は起きていません。
富士山周辺に限れば2018~19年に5湖全てで水位低下しましたが(河口湖最減4m)、同時期に他の地域に何らかの異変はありませんでした。
東京湾では今年になってクジラ・トド・イルカ100頭などの出現、太刀魚の豊漁、が起きていますが、これは恐らく海流激変や気候変動の影響。
あえて気になる点をあげるとすれば、千葉県で5月の震度5強以来、M4クラスが頻発していること。
また、伊豆諸島南端ベヨネーズ列岩で海面変色が起きていることくらいです。
100年前の予兆・前兆現象を参考にすると、少なくとも向こう数ヶ月は大丈夫でしょう。
まとめ
今回は100年前の関東大震災発生における予兆の数々をもとに、「次はいつ来るのか?」という点について考察しました。
残念ながら、いつ来るのかを正確に予測することはできません。
しかし、100年前と同等のMEGA地震が起きるとすれば、同じように数ヶ月前から予兆が出る可能性が大。
100年前の予兆を知識として蓄えておき、万一遭遇した時は減災・防災行動をとってください。
(なお、MEGA地震発生に備えた防災グッズ関連はコチラでご紹介しています。)
●作成者:原 経厳
・・・元番組制作ディレクタープロデューサー、長年にわたり地震前兆関連の調査・取材等を続けつつ、現在はフリーで映像コンテンツ制作プロデュース、短編映画製作プロデュース等に携わる。
●構成・編集Support:原 洋
・・・フリーライター
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