関東大震災では激震と津波、火災などによって10万5千人以上が亡くなりました。
防災の日として毎年マスコミ等で報道されてはいるものの、その被害について詳細に伝えている媒体はわずか。
そこで今回は、関東大震災の被害についてご紹介していきます。
2023年9月1日は関東大震災発生から100年の節目。
これを機に、今一度防災・減災の意識を高めてください。
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100年前に起きた関東大震災の概要
*出典:東京新聞
100年前の1923年(大正12年)9月1日正午前11時58分、神奈川県西部を震源とする関東大震災(M7.9の)が発生しました。
最初の本震からわずか5分の間にM7.2、M7.3、とM7超えのMEGA地震が3発続きます。
さらにその後は大火災や津波も発生し、被害者数は延べ10万5000人以上。
建物被害は全壊が約10万9,000棟、全焼は約21万2,000棟もありました。
現在とは建物の強度や素材に違いがあるとはいえ、関東大震災の凄まじさが分かる数字といえます。
関東大震災による被害額
前代未聞の大災害となった関東大震災では、1都6県(東京・神奈川・千葉・埼玉・茨城・山梨・静岡)で甚大な被害がでました。
その被害額は当時のお金で約52億7500万円。(現在の価値に換算すると3兆5000億円以上)
100年前の日本における国家予算の4倍以上で、GNP(国民総生産)比は35%以上。
阪神淡路大震災の被害額はGNP比約2%と言われていますから、いかに大きな被害だったかがよく分かります。
地図でみる関東大震災の被害地域
関東大震災では2日間でM7以上が6回発生。
それによって複数の地域で揺れ、火災、津波、土砂崩れなどの被害がでました。
揺れが大きかった地域
*出典:内閣府HP(武村雅之名古屋大特任教授分析)
上の画像は関東各地での震度分布詳細です。
紫が震度6強、濃い紫が震度7の激震に襲われた地域。
静岡伊豆半島東部から神奈川県の沿岸地域全般、そして東京都心沿岸部、千葉の房総半島中部・南部にかけて強い揺れが発生しました。
また、内陸部でも5弱~5強の揺れとなっています。
火災被害が深刻だった地域
*出典:内閣府HP
上の地図は関東大震災の発生地域を表したもの(東京版)。
赤い点が出火地点、赤く塗りつぶされた場所は焼失した地域です。
地震発生が昼時で多くの人が火を使っていたため、都内130か所以上で火災が発生。
その結果、神田・銀座・日本橋・両国・浅草など、皇居より東側がほぼ完全に焼失する事態となりました。
一方、横浜も東京に匹敵する未曽有の火災被害となりました。
*出典:横浜市HP
上の地図は震災間もない頃につくられた横浜市の火災地域を表す図。
濃い緑の部分が焼失エリアを示しており、市の大部分が焼失したことが分かります。
津波被害が出た地域
関東大震災では津波被害も出ています。
最初のⅯ7以上3連発の後、わずか数分で神奈川沿岸を大津波が襲いました。
近年の調査によると、この津波の高さは熱海と伊豆大島で最大の12m、伊東と館山9m、鎌倉でも5~6mに達したそうです。
土砂崩れの被害が出た地域
*出典:内務省
関東大震災で津波以上に大きな被害を出したのが土砂災害です。
上の図は当時の内務省がまとめたもので、●の部分で山崩れ・地すべりなどの土砂災害が発生。
三浦半島や房総半島の他、熱海付近にも被害が出ています。
これらの土砂崩れによって流失した面積の合計は80平方キロ。
これは東京ドーム約1,700個分にもなります。
関東大震災の被害者数
関東大震災では、最初の揺れによって1万人が亡くなりました。
それに加えて、火災、津波、土砂災害でも多くの被害者(死者)が出ています。
火災による被害者数
関東大震災では、4万人が密集避難していた陸軍被服廠(しょう)跡空き地(現・墨田区)に火災旋風が何度も襲来し、3万8000人が亡くなりました。
上の画像にある絵はその様子を描いたものです。(画:徳永柳洲)
また、この惨状を目撃した映画カメラマン白井茂氏は、「悲惨の規模があまりに大きすぎる。皆ゴム風船のように膨れ上がってしまっている」(カメラと人生より)と伝えています。
こうした火災による被害者数は東京で6万6000人以上、神奈川で2万5000人以上。
関東大震災の被害者数は10万5000人ですから、実に9割近くが火災によって亡くなったことになります。
津波による被害者数
火災被害ばかりでなく、津波によっても多くの被害者が出ています。
しかし、津波の被害については不明な点が多く、津波の高さや被害者数については諸説あります。
一説によると、本震発生後わずか数分で最大12mの津波が襲来した熱海市の被害者数は推定300人。
現在の長谷4号踏切付近に津波が到達した鎌倉市由比ケ浜でも300人が行方不明になったと言われています。
土砂災害の被害者数
関東大震災で津波以上に多くの被害者数を出したのが土砂災害です。
その被害者数は800人以上。
特に神奈川西部は被害者が多く、小田原片浦村は土石流で死者62人、根布川駅付近は地すべりで死者200人、箱根は崖崩落で死者48人となっています。
また、白糸川上流では大規模な山体崩壊(山津波)まで発生し、400人以上が一瞬で亡くなったとされています。
まとめ
関東大震災の被害を知れば知るほど、その規模の大きさが浮き彫りになってきます。
しかし、いくら都市化がすすんだとはいえ、地形や地下構造は基本的に同じ。
令和の関東大震災が起きれば、同じ様な被害を繰り返す可能性があるのです。
2023年は関東大震災から100周年。
これを機にあらためて防災意識を高めてください。
(なお、MEGA地震発生に備えた防災グッズ関連はコチラでご紹介しています。)
●作成者:原 経厳
・・・元番組制作ディレクタープロデューサー、長年にわたり地震前兆関連の調査・取材等を続けつつ、現在はフリーで映像コンテンツ制作プロデュース、短編映画製作プロデュース等に携わる。
●構成・編集Support:原 洋
・・・フリーライター
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